梅雨で引きこもりの日々は映画で過ごす

今年の梅雨は、梅雨らしすぎて、お出かけ中毒の私も引きこもり生活。ネットで映画ずいぶん観ました。ドラマも結構見たのですがそれはまた別の機会で。

『十五才 学校Ⅳ』良かったです。泣けます。引きこもりの少年がヒッチハイクの旅をして、成長していく物語。人を成長させるのが学校ならば、この旅こそが学校そのもの。山田洋二監督ですから、出てくるのは良い人ばかりで安心して見られます。知り合った不登校の子から贈られた「浪人の詩」が感動させられます。

 

『泥の河』昭和31年の大阪が舞台。「流転の海」を読み終わって無性に見たくなりました。設定は違いますが、宮本輝父子が主人公です。自分は、31年生まれで、主人公は兄世代。かろうじて、この時代の空気は覚えています。隅田川と荒川に挟まれた下町は育ち、河は身近でした。戦争の影は、まだ色濃く残っていた時代です。今の、若者にこの映画はどう映るのだろうか?「あたりまえの人」の生き死にが大切にされる時代に生きたいものです。劇中できっちゃんの歌う「戦友」。泣けます。日露戦争時代の軍歌で、厭戦的であるという理由で陸軍が歌うことを禁止していたとされる歌。加害者的視点はないけれど、戦争の悲しさを見事に伝えています。死んだ戦友の時計の音だけがコチコチと鳴っている。直立不動で歌うきっちゃんはこの映画のハイライトです。

話題作『万引き家族』がもうネットで見られます。樹木希林の存在感はさすがです。リリフランキーは相変わらずのとぼけた演技で、もうこの人しかいないという世界を作り出します。共同体としての「家族」、理不尽な社会制度などいろいろと考え去られる映画ですが、エンタメとしても楽しめます。ただ、万引きだけは許せない。被害の補填をするにはどれだけの商品を売らなければいけないか、万引きする側は考えないのだろうな。

『重力ピエロ』まあ、これも「家族」もの。さすが伊坂幸太郎の話は面白い。展開のスピード感がたまらない。謎解き目当てで見ることはないだろけど、謎が解けてからが面白い。終わり方もさわやか。やっぱり、ハッピーエンドがいいね。

 

 

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い9.11を背景に少年の成長を描いている。言葉を失った祖父がいい。最後のどんでん返しで思わず幸せになれました。。皆優しい。とても後味の良い作品。名言といわれるセリフの多いのも特徴とか。原作を読んでみる気になりました。

 

『デトロイト』 1967年7月デトロイト暴動発生から3日目の夜のアルジェ・モーテル の事件を題材とした社会派の作品。白人警官役のウィル・ポールターのこれでもかというくらいの悪役ぶり。鬼気迫る怪演で、彼を見るだけでもこの映画を見る価値があります。大好きなモータウン・ミュージックにもこんな背景があったのですね。サム・クックの伝記をNetflixでみたときにも思ったけど、アメリカの人種差別について実はあまり知らないのですね。キング牧師が暗殺されたのは翌年でした。今でこそ、黒人の社会進出も目覚ましいですが、この映画がアカデミー賞にノミネートすらされなかったことの意味も気になります。久しぶりにグレート・ブラック・ミュージックを謳ったArt Ensemble of Chicagoでも聞きましょう。

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